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<お彼岸とぼたもちの国語的なお話>

春分の日は、お彼岸の中日ということもあって、お墓参りに出かけられたご家族も多いことと思います。

 

21日のこちらの地方は、みぞれ交じりの雨が雪に変わり、また雨に戻るといった複雑なお天気。

 

様子を見ながら菩提寺に出かけ、ご先祖様のお墓参りをして参りました。
「先生が教える小学校と勉強:小学生子育てプロママ養成講座」の風路でございます。

さて、お彼岸というとつきものなのが「ぼたもち」。

 

秋のお彼岸の頃は「おはぎ」と呼ばれたりするのですが、たまたま見たテレビで、「今でしょう!」の林先生が、この呼び方の違いについて解説していらっしゃいました。

 

スタジオの皆さんが「へぇー。」と、納得していらっしゃったので、(あ、けっこう知らない方もいらっしゃるんだなあ。)と思いました。

 

 

私はかつて、学区の中にお寺さんと和菓子屋さんがとても多い学校に勤務していたことがあり、担任したお子さんがお寺さんの跡継ぎだったり和菓子屋さんの跡継ぎだったりしたもので、このあたりのお話を聞いたことがあったんですね。
 「ぼたもち」「おはぎ」の違いには、諸説あるのですが、林先生が話されていた「季節によって呼び名が変わる食べ物」と言うことで、担任児童のお父様で和菓子屋のご主人にお話を聞いたことがありました。
「うちは、季節によって名前を変えて店に出しているんです。」

 

「えっ?『ぼたもち』と『おはぎ』だけじゃないんですか?」

 

「はい、名前の由来はいろいろありますが、うちでは・・・。」
ご主人が説明して下さったのは、次のような話でした。

 

 春は、「牡丹餅」。

 

牡丹の花が咲く季節、つまり春のお彼岸に、神仏や先祖への供物とされた小豆あんの様子を、牡丹の花に見立てたことからこの名前で呼ばれている。

 

夏は、「夜船」。

 

ぼたもちは、もちと作り方が異なるので、「ペッタン、ペッタン」のような音を出さずに作ることができる。

 

そのため、隣に住む人には、いつ搗(つ)いたのか分からない

 

そこで、 「搗き知らず」→「着き知らず」と言葉遊びをして、夜は暗くて船がいつ着いたのかわからないことからこの名前で呼ばれている。

 

 秋は、「御萩」。

 

「牡丹餅」と同じく、小豆あんの様子を秋の彼岸の時期に咲く萩の花に見立てたことからこのように呼ばれる。

 

 冬は、「北窓」。

 

夏の呼び名「夜船」と同じように、「搗き知らず」→「月知らず」と言葉遊びをして、月を知らない、つまり月が見えないのは北側の窓だ、ということからこう呼ばれている。
なんだか雅な感じの呼び方ではありませんか。夏は『夜船』に冬は『北窓』ですか。
日本語って「搗き」を「着き」とかけたり「月」とかけたり、おもしろいことができますよね。

国語的に考えれば、ここで「ぼたもち」のつくことわざなんていかがでしょう。

 

皆さんがよーく知っているのは、やっぱりこれ。

 

 「棚からぼたもち」

努力することなしに予期しない幸運がまいこんでくること。「たなぼた」と省略することもありますね。

 

これに対して、

 

 「牡丹餅は棚から落ちてこず」というのもありますよ。

 

これは、思いがけない幸運が、転がり込むなどということはまずありません。ということ。

 

それから、こんなのもありました。

 

「牡丹餅は米 辛抱は金」。

 

これは、辛抱が何よりもたいせつであることを言い表したものですね。

担任したお子さんのパパであるお坊さんに聞いた「ぼたもち」や「彼岸と此岸」のお話も奥が深いのですが、こちらは、またの機会に。

 参 考

 

日本語って、とっても奥が深く、いろいろな行事と結びついて、さらにおもしろくなってくるんですね。

 <本当は、とってもスペシャルな「日本語」>

 <七草がゆと百人一首>

 <旧暦・・・その名前の由来は何?>